異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2004-05-27

昼食を済ませて、1時間ほどの昼寝を取る。

元の世界では、ラテン系の人々がシエスタという昼寝の習慣を持っていると聞いたが、オレ自身は馴染みがない。

だが、昼食をしっかり取ったあと、軽く一眠りするのは実に良い習慣だと思う。

腹も落ち着くし、頭もすっきりするしな。

もっとも、この館の住人でもこの食後のひとときをどう過ごすかは人それぞれだ。

オレは中庭に見つけたベンチを一つ占領して眠っていたが、そこを見つけたときには既に隣のベンチでアルケイア姉さんが気持ちよさそうに寝息を立てていた。

エリン族の人たちも、何人か中庭でうたた寝していた。中庭は、天気の良い日の昼寝スポット定番といえるだろう。

一方、昼寝しない組筆頭は意外にリャナン・シーだった。助手のリュシー・フェイと、ゼーレーヴェーが付き従って、館の近くの森に散歩に行くのだそうだ。時々そのまま薬草摘みの時間になるらしい。

遠ざかっていく彼女たちの一団から時折楽しげな歌声が聞こえた。

男のコボルド達は放牧に行っているので、ホーサと唯一女性のコボルド・メロードは食事を届けに行って、一緒に食事を取っているそうだ。手伝おうかと申し出てみたが、

セタンタ殿は馬に乗れるのですか?」

と訊かれて断念。

スカアハ様が、そのうち乗馬も教えるようにおっしゃっていましたから。またの機会に。」

そういって颯爽と馬にまたがっていった。

馬に乗れないのは、車を運転できないのと一緒だなーとか思った。


至福のお昼寝タイムが終わると、スカアハの座学の時間だ。

生徒は、オレ、ホーサ、そしてなぜかスプリガン三姉妹からレー

レーも勉強するのか?」

そう聞くと、小さな声で

「……はい。魔術と学問を授かっています。」

と返事が返ってきた。

スカアハによると、レー妖精の輪という特殊な魔術の専門家の一人で、魔術に大いに素質があるのだという。

「へぇー。ちっこいのに大したもんだなぁ。」

オレが感嘆の声を上げると、

「……いえ。まだまだです。」

と蚊の鳴くような声。照れなくても良いのになぁ。


座学は、ひとまず数学の試験から始まった。

っていうか、殆ど算数だけどね。

字が読めないオレ向けなので、口頭で出題するスカアハにやはり口頭で答える。

半クラウン銀貨を5枚持って市場に行き、1パイントで7ペニーの小麦を4パイント、5パイントで20ペニーの蜜酒を15パイント買う。手持ちはいくらになるか。」

「すまんが、半クラウンは何ペニーなんだ?」

オレが質問すると、スカアハが実際に硬貨を出して見せてくれた。

500円玉サイズの銀貨が半クラウン銀貨、10円玉サイズの銅貨が1ペニー半クラウンは50ペニーだという。

「小麦が28ペニー、蜜酒が60ペニー。合計88ペニーだから、残りは半クラウン銀貨3枚に1ペニー銅貨12枚、でいいかな。」

暗算してそう答えると、ホーサレーが驚いた声を上げる。

「そなた、頭の回転が速いな。」

スカアハも感心した様子。

……おいおい。小学生の文章題じゃねぇか。

「オレのいた世界だと、6~7歳でもこれぐらいなら簡単に答えるよ。」

オレが苦笑いすると、興味をそそられた様子のスカアハ

その後、いくつか問題を出されたが、四則演算、分数、基礎的な幾何、論理演算とかで、石版と木炭を借りて計算して答えた。

「そなたの世界は、数学者が出世する世界なのか?」

そういって面食らった様子の女神様。

「いや、オレの世界だとこれくらいの算術は基礎教育なんだよ。もっとも、これ以上高度なのは普段使わないからオレも覚えていないけど。」

「驚いたな。そなたがこれほど高い教育を受けていようとは。」

セタンタ殿は、学者だったのですね。すごいです。」

「……セタンタ様、素晴らしいです。」

感心することしきりの一同。

オレ様ダメ居候から一躍ヒーローか。

……と思ったら、次の課題で作文を出されてすぐに陥落。

「……まずは文字から教えねばならぬな。」

レーホーサに文字の間違いを指摘されながら書き取りの練習。トホホ。