異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2004-09-02

帰り道は、オーリン族の村へ向かったときよりも急いだせいか、3日目の夜遅くにはコール氏族の村まで着いた。スカアハの館まで半日の距離である。

行きにも世話になった、フィオナの親戚であるところの大巫女のおばちゃんの家に泊めてもらう。

「あらま、女神様良くお越しで!さあさ、中へどうぞ!今湯を沸かしますから。」

「手間をかけるな、グラナ。」

流石おばちゃん。自分が仕える女神を前にしてもビクともしないぜ。

おばちゃんに甲斐甲斐しく世話を焼かれながら、夕飯をご馳走になる。煮付けた豆とか、ふかし芋とか。素朴な味付けだけど量があって、この3日間強行軍であんまりいいものを口にしていなかったのも手伝って、腹に沁みるほど美味い。

腹がくちくなってくると、

「女神様もお元気そうで何よりで。」

とか、

フィオナはお役に立ってますかねぇ。」

とか、おばちゃんの声が子守歌代わりに。

オレの目蓋が落ちてくる頃には、隣でホーサが船を漕ぎ始めた。

「あらま、お疲れのようね。寝床に案内しなくちゃね。」

「手間をかけるな。」

「いえいえ、手間なもんですか。いつ来ていただいても歓迎ですよ。」

そう笑うおばちゃんに連れられて寝床に潜り込む。

グラナ、手間ついでに……」

スカアハが何かおばちゃんと喋ってたが、既にオレはまどろみの中に転落中。

歩きづめだったからな。


翌日。

ちょっと遅めに起きてのんびりと出発。そろそろ夏も盛りに入りつつあるんだろう。日差しが照りつける。

昼頃、草原のうねりの向こうにスカアハの館が見えた。

がっしりとした作りの石造りの建物が目にはいると、何となくほっとした。あの家にいたのはほんの3日だし、旅に出て大体2週間だからあんまり我が家って感じでもないんだが、それでも帰る家があるんだと思うと落ち着くもんだな。

門扉があるわけでもないが、鳥居みたいな入り口の門に近づくと、向こうでもオレたちが近づくのが見えていたのだろうか、フィン・マッコール爺さんをはじめ、リャナン・シーさんとかコボルド達とかが待ちかまえていた。出かけるときは不在だったアルケイア姉さんもいる。

スカアハを先頭に門の所につくと、マッコール爺さんが代表して出迎えた。

「今戻った。」

「お帰りなさいませ、スカアハ様。」

そのあと、フィオナギリアムさんは爺さんと話し始めて、ホーサコボルド達と何か話している。

セタンタ~。」

セタンタ様。」

「……セタンタ様。」

声のする方を見てみれば、小妖精三姉妹だ。

「よう!三人とも元気にしてたか。」

セタンタこそ、元気にしてたノ~?ドジ踏んだりしなかっタ~?」

ヴェーが、オレの肩に乗ってニヤニヤ笑う。

「ん、まぁ、ボチボチな。」

「……あの、……お帰りなさい。」

「おう、レー。ただいま。」

目の前でモジモジとしてるので、反対側の肩にそっと乗せてやる。

「二人とも、セタンタ様に乗っかって……。」

「ん?ゼーも乗るか?」

そんな風に妖精三姉妹と戯れてると、目の前にヌッと人影。

見上げると、かなり背の高いオレより更に一回り大きな男がオレを見下ろしていた。

右目に眼帯。豊かな焦げ茶色の髪と髭。威風を払う立派な容貌が品定めするようにオレを見ていた。

「そなたが、新たな渡り神か。」

その壮年の男は顎髭を撫でながら、ニヤリと笑った。