異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2004-09-08

トートの爺さんが、後ろの二人を呼び寄せる。

片方は、虹色の髪を風になびかせて歩いてくる女性だ。ちなみに、日光が虹色に反射してるというよりも、虹色の光を髪自体が帯びている感じ。髪自体は銀色なのかな。その上からホログラフが被さってるみたいな感じだ。

小柄だが、年齢はオレよりちょっと上、20代前半だろうか。とりわけ美人というわけではないが、なんだか愛らしい感じの女性である。

「この娘はイリス。虹の女神だが、ユピテルの使者を務めておる。まぁ、ワシも使者の仕事を割り当てられとるんだが、この娘の方が働き者だしの。」

メルクリウス様の本業は、むしろ伝令だったと記憶しておりますけれど?」

その目立つ髪を緩やかに波打たせて爺様に釘を刺して、その女性はにこやかにオレに微笑んだ。

イリスと申します。セタンタ殿、お見知りおきを。」

セタンタです。イリス様は見事な髪をお持ちですね。」

「ふふ。お褒めいただいて光栄ですわ。ありがとうございます。」

おー、なんか大人の女性だ。この世界に来て二人目の淑女だな。(一人目はリャナン・シーさんだ)


次に呼ばれたのが、あの犬型獣人の少年である。

ちなみに、最初はコボルドの連中とメンチ切って睨み合いしてて、トート爺さんが呼んでもなかなかこっちに来なかった。

「こやつは蛇神エキドナと神狼フェンリルの……」

「オッス!オイラケルベロス!よろしくなっ!!」

「これ、ケルベロス、人の話は最後ま……」

「なぁなぁ!兄ちゃん結構強いらしいな!オイラと勝負しようぜ!」

「おい、こらケルベロス!!」

「うるせえなぁ、爺さん。なんだよもう!」

「いいかケルベロス。お前はもうちとばかり落ち着け。挨拶の仕方もきちんと教えたであろう……」

「なんだよ!オイラちゃんと名乗ったぜ!?何がいけないんだよ!」

……あー。なんだこのテンション?(汗)

「えーっと、ケルベロス君か。オレはセタンタだ。……あー、なんだ、男同士よろしくな。」

そういって手を差し出したとたん、ケルベロストートの爺さんがピタリと固まった。

まじまじとオレの顔を見る爺さん。

俯いて拳を握りしめるケルベロス

「……なに?どうかしたか?」

スカアハに目をやると、あきれ顔で首を振っている。

「その子は……」

爺さんの声を遮って。

「オイラは女だっっっっ!!!!!」

下から突き上げる衝撃!

見事に振り抜いたジャンピングアッパーがオレの顎を捕らえていた。

「うおっ!いてぇっ!」

蹲って顎を押さえるオレを、ちびスケのワンコが見下ろして言う。

「へっ!しょせんオイラの敵じゃないね!」

ムカッ。

「……な・ん・だ・と・コ・ラ。」

「へーん。ちっとも怖くないね!捕まえられるもんなら捕まえてみな~!!」

そういってズボンのお尻から突き出ている尻尾を振り振りしながら逃げていくケルベロス

「てめぇ!マチヤガレ!!にがさんっ!」

ちょこまかと逃げるワンコに本気で掴みかかるオレ。


<20分ほど経過>


ぜ、……ぜぇ。

「ちぇ。なかなかやるじゃん。」

息も絶え絶えのオレは、やっとこさこの小僧もとい小娘を捕まえた。

「ま、まぁな……。」

ケルベロスは息も切らしておらぬぞ。セタンタ、まだまだ鍛え方が足りぬな。」

オレとケルベロスの追いかけっこを笑いながらはやし立てていた一団の中から、スカアハが非情なコメントを吐いた。