異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2004-09-12

「狩り?」

スカアハが、いきなりそんな話を始めた。

「せっかく客人がいらっしゃっていることではありますし、狩りにでも出かけませぬか。」

と、そんな話の振り出し。

「ほう。この辺はどんな獲物がいるので。」

ゴブレットの果実酒をちびちびと飲みながらヌァザさん。

「半日ほど南に行くと森があるのですが、大鹿や猪が随分と棲んでいます。最近は熊も出ると言うことです。」

「ほほう、熊か。そいつは楽しめそうだ。」

なんだか乗り気なオーディンのおっさん。このおっさんなら熊でも素手で殴り倒しそうだ。がっぷり四つに組んで相撲をとっても勝てるんじゃなかろうか。

「実を申せば、春先から森の獣が増えておりまして。件の森は妾の領地なのですが、近隣の村から薪を拾いに入る者が不安がるので狩りをして欲しいと言ってきておりまして。」

「なるほど。ならば務めを果たすついでというわけだな。」

笑みを浮かべるヌァザさん。

オレがキョトンとしていると、斜向かいのトート爺さんが説明してくれる。

セタンタ君、狩猟権という言葉の意味は知っとるかね?」

「はぁ。領主以外狩りをしちゃいけない狩り場とかそういうのがあるってことですか?」

「うむ。領地持ちの神はそういった狩り場をもっていることが多いのだよ。領民が献上するというと聞こえはいいが、なに、手に負えない怪物や獣が棲んどる場所を管理してくれという意味もあってな。」

「それで『務め』、ですか。」

「そういうことだな。ま、ワシらは楽しんでやっとるがな。ははは。」

と笑いながら杯をあおるオーディンのおっさん。

「村の方には勢子を出すよう頼んでありますし、得物などもこちらで揃えさせます。」

「準備万端ですな。ならば、心おきなく腕を競うとするかね、オーディンよ。」

「おおよ!いつぞやの鹿狩りでは半ポンド負けだったしな。借りを返してくれる。」

「なに。また私が勝たせて貰うさ。」

なんだか主神同士と言うより、気心の知れたおっさんの飲み話である。

「なぁ、スカアハ。オレも行っていいか?」

「もとよりその心づもりだ。……我が方からは、セタンタホーサフィオナギリアム。あとリャナン・シー、そなたは如何する。」

話を振られたリャナン・シーさんがちょっと思案顔で答える。

「私も参りましょう。それに、ゼー達も連れて行った方がよろしいかと。あの森は妖精の護りをかけてありますから。」

「ふむ。立ち入っては危険な場所もある故、その方が良かろうな。準備をしておいてくれぬか。」

と打ち合わせの模様。

「客人の皆さんも全員参加?」

オレが聴くと、

シグルーンはもちろん連れていくぞ。」

「はい、父上。」

アサ神族組。

「私も是非。」

と、ベレヌスくん。

「うちはワシだけ……」

「オイラも行く!」

「……お前は」

「行くっ!!」

「……はぁ、好きにせい。」

あーあ、またワンコに押し切られてるよ爺さん。