異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2004-10-12

さて、翌日。

久々に「自分の寝床」に戻ったせいかしっかりと寝入ってしまって、ベッドに横になった直後には朝になっていた。窓から明るい日差しが差し込んできている。

「……セタンタ様。おはようございます。」

あんまりスパッと目が覚めたのでかえってボーっとしていると、部屋の入り口からか細い声が聞こえた。小さく開いた扉の隙間からレーが恥ずかしげに覗き込んでいた。

「おう。おはよう。起こしにきてくれたのか?」

「……はい。セタンタ様はお疲れの様だから寝かせておいてやれと、女神様がおっしゃっていたのですが、そろそろ朝食なので。」

あー、確かに。なんか結構寝過ごしたっぽい気がする。

「ありがとなー、すぐ行くよ。なんかスゲー腹減ってるし。」

むっくり起きる。なんだか、しっかり寝たせいか疲れがきちんと抜けている感じだ。

さっさと着替えを取り出してチャッチャと着替える。

「キャッ!」

オレがシャツを脱ぎ始めると、なんかレーが慌てて後ろを向いていた。

気にすること無いのになぁ。


朝食の席には昨日の顔ぶれが概ね揃っている。

スカアハリャナン・シーさんとアルケイア姉さん、ゼーレーヴェーたち。フィオナギリアムさん、客人たち。見えない顔は、マッコール爺さんとホーサか。

たぶんホーサは朝早いうちにコボルドたちと放牧に出かけたんだろう。働き者だ。ってかタフだ。オレと同じで昨日まで歩きづめだったはずなのに。

「おはよう、皆さん。」

「おはよう、セタンタ君。」

「おはようございます。」

「よう坊主、よく眠れたか。」

「おはよう兄ちゃん!」

客の方に挨拶すると、思い思いの返事が返ってくる。ひときわ大きな声はワンコだ。

「……あれ?ケルベロス………だよな?」

声の方をみると、小柄な女の子が席に着いていた。トート爺さんの横の席だから、ケルベロスの席のはずだが。昨日のような犬頭の獣人の姿ではなく、後ろ髪がちょっと長い元気そうな女の子の姿があった。よく見ると、頭の上にはふわふわした銀色の髪から二つの犬っぽい耳がぴょこんと立ち上がっている。

「……どした?兄ちゃん?」

間違いなくケルベロスの声だ。

「お前、昨日と姿が違うけど。……化けたのか?」

「化けたって何だよ!オイラ、普段はこっちの姿だぞ!」

トート爺さんの説明によると、ケルベロスは月齢の影響を受けて獣化の度合いが変わるのだという。昨日は満月だったので、一番獣化が進んだ状態だったんだとか。

「難儀な体だなぁ。でもまぁ、なかなか可愛いじゃないか。見た目は。その格好だとちゃんと女の子に見えるよ。」

「えへへー!可愛いってさ、オイラ!」

なんだか嬉しそうにはしゃいで、トート爺さんにたしなめられている。今はまだ男の子に見えないこともないが、将来は結構な美人になりそうだ。爺さんがちょっとはおしとやかに躾けたくなるのもわからんではない。


狩りの準備ということで、参加者はスカゲラクに得物を見繕ってもらうことになった。

弓とか石弓とか貸してもらえるのかと思ったら、俺たち一同が案内された武器庫には大小様々な槍ばかり。

「こちらにある中から選んでください。斧もありますので、使われるようでしたらお申し付け下さい。」

スカゲラクがさも当然のようにいう。オーディンのオッサンやヌァザさんも、早速槍を手にとって重さを試していたりする。

「……えっとさ、弓とか罠とか使うんじゃないの?」

オレがそう漏らすと、一斉に『何言ってんだコイツ?』って視線がこっちに向けられる。

セタンタ渡り神の狩りは狩人の狩りとは違うのだ。大勢の勢子で獲物を追い立て、追いつめた獲物を力と技を駆使して仕留める。いわば競技のようなものだ。それ故、忍び寄って弓で撃つようなまねはせぬ。」

スカアハの説明に肯くオッサン連中。

「獲物の前に立ちはだかり、いかに勇敢に戦うか。それで武勲を競うのですよ。戦というわけではありませんが、似たようなものですね。」

とにこやかなベレヌスくん。

「あー、なんかさ昨日、猪とか熊とか聞いた気がするんだけど??(汗)」

「猪狩りはなかなか楽しめるぞ。突っ込んでくる猪を避け損なうと、牙が腹に突き刺さるからな。わははは!」

オッサン!わははじゃねーよ!!