異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2004-10-17

幻影の猪と戯れた、というか遊ばれたような気もするが、ともかく翌日。

マッコール爺さん始め館の皆が支度を進めてくれたので、狩りに出発の運びとなった。

先頭を馬に跨ったフィオナとその手綱を引くギリアムさん。それに続いてスカアハ姐御、オーディンのおっさん、ヌァザさん、トート爺さんが駒を進める。その後ろに徒歩でオレのほか、ベレヌス君、シグルーン嬢、ワンコ。すぐ後ろに馬を引いたホーサリャナン・シーさんと助手のリュシー・フェイ嬢、マッコール爺さん。ゼーレーヴェーの三人は、ホーサの連れた荷馬のうえで揺られている。

昼前にコール氏族の村に着く。大巫女グラナおばさんが迎えてくれた。

「ようこそいらっしゃいました、皆様。私どもの村のものも出立の用意をしておりますので、ひとまずご休憩下さい。」

おばちゃんはこないだより言葉が丁寧だけど、これだけのメンバーを前にしても腰が引けた感じが全然無い。周りのコール氏族の男たちが緊張した様子なのに比べると、随分堂々として見える。さすがは大巫女というべきか。それとも、おばちゃんパワーのなせる技か。

おばちゃんに冷えた水をごちそうになって休憩しながら、何となく雑談。

ふと気になっていたことを聞いてみるか。

「ところでさ、スカアハ。ちょっと質問。」

手を挙げて言ってみる。

「何だ、セタンタ。」

機嫌がいいのか、柔らかい口調で返事が返ってくる。同席していた面々も注目する。

「大陸の西方で勢力の強い神族って、ダヌ神族アサ神族オリンポス神族の3つだよな。」

「うむ。そうだな。まだそなたには詳しく話しておらなんだが、よう覚えておったな。して、それがどうかしたか。」

ダヌ神族の王はヌァザさんで、アサ神族の王はオーディンのおっさんだよな。んじゃ、オリンポス神族の王様って誰なんだ?トート爺さんじゃないんだろ?」

「ああ、ワシは王なんて柄ではないし、そんな面倒くさいのはゴメンじゃ。研究の時間が減ってしまうわい。」

と、トート爺さん。

「オリンポスの主神は、ユピテル殿だ。」

と、こちらはスカアハ姐さん。なんでか渋い顔をしている。

オレが小首をかしげると、ぷっと吹き出す音がした。オーディンのおっさんだ。

「くっくっくっくっ、ユピテルはな……」

オーディン殿!」

笑いをこらえきれない風情で話し出したオーディンのおっさんを、スカアハが赤い顔をして制止する。

「まぁまぁ、スカアハ殿。ユピテルだけ欠席している理由を話してやらねば、彼も事情がわかりますまい。」

「じ、事情など知らずとも……」

なんだか狼狽したスカアハってのも珍しいな。こうしてると、急に年端もいかない少女みたいに見えて、……カワイイかもしれない。

オレが当惑の表情からだんだんニヤニヤした表情になるを見たのか、オーディンのおっさんがオレを茶目っ気たっぷりの表情で見ていた。

「聞きたいかね?セタンタ殿。」

片目の神は、ひげの間から覗くニヤニヤ笑いを隠そうともしない。

「ええ、是非お聞きしたいですね、オーディン殿。」

オレがニヤニヤ笑いで答えると、

「よかろう、聞かせてしんぜようとも。」

と実に不真面目な表情で返事が返ってきた。

横目で見ると、スカアハはふんっと鼻息を漏らすとそっぽを向いてしまった。ヌァザさんが「ほどほどにしておけよ。」と諫めるが、オーディンは語る気満々。オレやほかの同席者も興味津々である。