異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2005-11-13

手空きの狩人さん達に手伝ってもらって三頭の猪を運び終わる頃、スカアハ達はやっと宿営地に戻ってきた。

昨日と変わらず和やかに談笑しながら帰ってきたが、獲物は全く見えない。

「えーと、スカアハさん。まさか今日も……」

出迎えに出てみたものの、ちょっと予想外の光景に驚いてしまう。

セタンタか。今日も獲物は休みだったようでな。なに、妾たちの分までそなたらが頑張ってきたようではないかえ。大したものよな。」

そしてにこやかに誉めてくれたりする女神様。

何故に今日一日獲物ゼロ、釣りで言うところの”坊主”だった姉御がこうも上機嫌なのか。

「……薄気味悪すぎる。」

「聞こえておるぞ。」

槍で頭を小突かれた。そこ、たんこぶがあるんだからカンベンしてください。


夕食では、ヌァザさんが三頭仕留めた話でもちきりだった。

特に、ヌァザさんが光の剣を振るって猪の首を一刀のもとに切り落としたくだりを話してやると、大いに盛り上がった。

「いや、凄いの凄くないのって!一天にわかにかき曇ったかと思うと、一条の稲妻が大地に突き刺さる!それこそ光り輝く剣『カラドボルグ』そのものだっ!!」

「おおお~!!」

とかベレヌス君やシグルーンに話してやっていると、

「ふんっ。面白くないな。実に面白くないっ!」

とか叫んでいる人が。

「ワシはただの槍で三頭仕留めたのに叱られて、ヌァザカラドボルグまで使ったのに誉められるとは。不公平ではないか、まったく。これならグングニルを持ってくれば……」

あー、オーディンのオッサン。いい年した人がむくれてても可愛くないですよ。ていうかみっともないやろ、そこの主神

オーディン殿ならば、1日程度の差はむしろちょうど良いハンディではありませぬか。」

「そうだな。オーディンの方が私より格上なのだから、少しはまけてくれても良かろう。」

と、スカアハヌァザさんが機嫌を取り始めると、

「……ふむ。ま、明日で挽回すればすむことか。良かろう、今日は英気も養ったことだし、明日は存分に我が腕の程を見せてやろう。」

簡単にご機嫌回復したみたいだ。単純だなぁ。

もっとも、その台詞を聞いたホーサギリアムさんの顔が青くなっていたが。ご愁傷様。


「ところでトート爺さん。」

「なんじゃ?」

食事が終わるころ、老魔術師を捕まえて問いただすことにした。

これこれこういうワケで、と話すと、爺さんは

「ほぅ。」

と答えて考え込んだ。

「やはり父親の血かもしれんな、それは。」

父親って、えーと?

「誰だったっけ。」

「あの子の父親は神狼フェンリルじゃ。母は蛇神エキドナ。生粋の獣神の血筋じゃよ。」

あー、なんか聞いたような。

「って、フェンリルって……」

「なんじゃ?」

たしかラグナロクでオーディンを喰い殺すのって、フェンリルじゃなかったっけ。

「い、いや。なんでもないよ。」

黙ってよう。黙ってた方がいい気がする。うん。

「んで、そのフェンリルって人が”戦士病”なのかい。」

トート爺さんは少し思案を巡らしたあと、

「そのはずじゃ。まぁ、ケルベロスにその血が受け継がれて居っても不思議はあるまいな。」

まぁ、そりゃ不思議じゃないけどさ。

「で、どうしたら直るんだ?アレ。あのままじゃちょっとまずいでしょ。」

「ふーむ。」

またも思案を巡らした爺さんは、何か思いついたのか相貌を崩した。

「何かいい案でも?」

セタンタ君、お前さんが躾ければいいんじゃよ。」

………。

「オレかよっ!!!」