異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2006-01-22

自力で歩けるようになって、ベッドから早々に解放されることになった。おかげで、遊びに来てた神さんたちの送別の宴にも出られることに。


「皆様。この度はセタンタの顔見せ、そして妾が弟子取りに遠路お越しいただきまして誠に光栄でございました。また、狩りを……若干一名を除きまして無事に終えることが出来、その祝いも含めまして宴席を設けさせていただきました。」

深みのある声でスカアハが挨拶すると、乾杯の後宴が始まった。

ちなみに、時刻はちょうど正午である。

昼日中から宴会ってのもちょっと気が引けるが、ま、この人らにとっちゃ宴席も仕事のうちだろうからね。

スカアハお抱えの料理人が腕を振るったのだろうか、かなりの皿数が運び込まれて来る。その中でもひときわ大きな、木皿に盛りつけられた大きな焼肉のかたまりを、スカアハが小皿にナイフで切り分けていく。たしか、オーディンのおっさん達がやって来た日の宴会でもこうやって、メインディッシュはスカアハが切り分けてたな。きっと、これが主催者のマナーってやつなんだろう。

乾杯もひとしきり済んで、料理も行き渡ると、あとは歓談しつつ飲み食いするモードに。

ちなみに、席次で行くとオレの右隣がスカアハで、左隣はフィオナだったりする。両手に花と思えればいいのだが、なんとなく、オレがアホなことをしないように警戒するフォーメーションのような気もする。

考えすぎだろうか。

しばし喋くりながら食事をしていると、スカアハが口元をナプキンで拭いてからおもむろに立ち上がった。

「ご歓談のところですが、ここで改めて狩りの結果について発表したいと存じます。」

一同から拍手や口笛。オーディンのおっさんなんか、ゴブレットをテーブルに打ち付けて歓声を上げてて蛮族チックだ。

「まずは、獲物の頭数でありますが、不肖、妾の組が一位でありました。」

一同から歓声と拍手。

「狩りの本命でございます、猪の頭数と重さではオーディン殿の組に軍配が上がりました。なお、猪を仕留めた頭数でもオーディン殿が抜きんでて首座でいらっしゃいます。」

スカアハが拍手を送ると皆からも拍手が。

「流石は父上!」

「うむ、ワシに任せておけ。」

なんて微笑ましい会話も。良かったなおっさん、親父の沽券が守れて。

「三日の狩りを通して、最も形の大きな猪を仕留めたのはヌァザ殿の組でした。手を下したのはフィオナ・マッコール。」

ヌァザさんとフィオナに拍手。

「私は今回ほとんど何もしてないがね。」

と、微苦笑のヌァザさん。そして、満座の渡り神から祝福を受ける栄誉に浴したフィオナは、頬を薔薇色に昂揚させて珍しく満面の笑みを浮かべている。

発表が終わったかと思って、食事を再開しようと思ったところで、スカアハがさらに続けた。

「最後に番外ではありますが。」

そしてオレに集まる視線。なんだ?

「猪狩りで熊に出会い、瀕死の怪我を負う尋常ならざる体験をした者がおります。」

え?そこでオレに振るか?

「熊を一騎打ちにて辛うじて下した、勇敢かつ愚かな若き戦士であります。」

そして、オレにニンマリとした笑顔を送ってくる姉御。

わき上がる拍手、口笛、そして笑い声。

「あ、あははは。」

何となく間抜けな愛想笑い。

ちぇー、オレはオチ要員かよ。