異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2006-01-28

ネタにされてちょっとスネ気味に乾いた笑いをあげていると、意外なことにスカアハがオレの肩に手を置いてこう言った。

「この者はまだ未熟であり、向こう見ずな処も御座いますが、退いてはならぬ時に退かぬ勇気を持っております。いずれは世に名を轟かす戦士になろうかと、いえ、必ずや世に二人と居らぬ武人に育て上げたく期待しております。」

凛々しい笑顔でオレを一瞥して。

「何卒、皆様には宜しくお引き立てのほどお願い申し上げ奉ります。」

オーディンヌァザ、そしてトートの三人に深々と頭を垂れた。

お、おいおい。

そんな大言壮語吐いて、ダイジョブか?

ていうか、オレのためにそんな頭下げてくれんでも!

なんか、……ちょっと嬉し恥ずかしいぞ。

オレが赤面して混乱しながらもスカアハに続いて頭を下げると、

トゥアハ・デ・ダナンの王、ヌァザの名にかけて、彼の前途を祝そう。」

エーシル並びにヴァニールの王として、我オーディンは戦士セタンタに祝福を垂れん。」

「では、ワシも。ヘルモポリスの主にしてアレクサンドリアの守護者、ユピテルの名代、大ヘルメス即ち我トートの名において、汝セタンタを我が門下と認めるものなり。汝が前に常に光りあれ。」

それぞれから厳粛なお言葉をいただいたりして。

「せっかくですから、我々も。」

と、トートの側にいたイリスさんが音頭を執ると、

「七色の虹彩のイリスからも祝福の辞を差し上げます。」

「輝く者ことベレヌスの名にかけて、セタンタ殿に幸多からんことを祈ります。」

「第七の戦乙女として、我シグルーンよりも父と同じく祝福を授けます。」

「えっと。エキドナの子ケルベロスもお祝いするよ!あなたの縄張りにいつも獲物がたくさんありますように!……で、いいんだっけ、じーさん?」

「湖と河の妖精を代表して、わたくしリャナン・シーからもセタンタ様の前途に栄誉があらんことをお祈り申し上げますわ。」

他の渡り神達からも口々に祝福された。若干一名、自信なさげに聞いてるヤツも居たけど。

「皆様。これなる新たな渡り神にご祝福いただきまして、誠に御礼申し上げます。」

そう結んだスカアハが、もう一度オレに向き直って、見下ろしながらその瞳を真っ直ぐにオレに向けてきた。

渡り神セタンタよ、そなたの前途を祝福しよう。影なる地の主にして戦女神と呼ばるる我スカアハの名において、そなたの目指す高みを極められんことを願う。影と供に安らぎと誇りあれ。」

なんか圧倒され、感激しながら聞いてしまったオレは、つい素直に返事をしてしまった。

「ありがとう御座いました、皆様。ご期待に必ず応えて見せます。」

皆から口々に与えられる言葉が誇らしく、自然と胸が高鳴る。


……直後、スカアハの言う「高み」とやらが、『世界一の戦士』とかいうとち狂った目標設定だったことに気づいて、別の予感に鼓動が早くなったけど、な。


オレが返事をすると、皆から

「この世界へようこそ」

といった意味の言葉を掛けられた。

それから説明されたが、さっきの儀式めいたやりとりは、新たな渡り神が他の神々に認められた時に必ず交わされる物なのだという。これをやって、初めて神の一人だと認められるんだそうな。

「驚いたであろう?」

と、嬉しそうな姉御を筆頭にみんなしてやったりという笑顔を浮かべていたり。

こういうノリの良さも渡り神の資格かなんかなんですかねぇ?