異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2006-03-12

なんだか気合いの入った一同のノリにちょっと乗り損なっていると、すかさず姉御からご指摘の声が。

「殊にセタンタ。そなたはこの世に二人とおらぬ戦士を目指すのだ。妾の力が及ぶ限り鍛えて進ぜるゆえ、精進いたせ。」

うぇ~、マジですか。

「返事はいかがいたした?」

「は、はぁ~い。」

「声が小さい!」

「ハイ!!」

真っ正面から睨まれた上に、ふんっと鼻息までつかれてしまいましたよ。怖すぎ。


「さて。今日はそなたらにやってもらうことがある。」

改めて切り出したスカアハ先生。

一体何すんだろう。

下手すると『皆さんにちょっと殺し合いをしてもらいます。』とか言われかねん。

もうドキドキもんである。

内心冷や汗で待ちかまえていると、教壇の机から木で出来た書類綴じを取り上げたスカアハは、を何枚か取り出すとオレに差し出した。

「ナニコレ?」

受け取ると、なにやら文字が書いてある藁半みたいなと、線が何本も引いてある便せんみたいながそれぞれ数枚。

文字が書いてある方をちらっと読むと、

『アイラはペニー銅貨を100枚持って市場に行き、1パイントで6ペニーの小麦を6パイント、6パイントで24ペニーの蜂蜜を12パイント買った。手持ちはいくらになるか。』

と書いてあった。

「試験?」

オレが聞くと、スカアハは頷いて皆に配れと促した。

全員に二枚ずつ配ると、スカアハが説明を始める。

「そなたらは各々、これまでにいくらかの学問を身につけてきたであろうが、それがどれほどのものであるか、試験を行って実力をはかる。」

そして一枚目を示して、

「此方の用にはいくつかの簡単な問題が書かれている。基礎的な学力が身に付いているか否か確認するためのものであるゆえ、さほど高度なものではないが、たとえ解けなくとも問題はない。それを教えるのが妾のつとめだ。」

さらにもう一枚を指して、

「此方にはそなたらに課題に沿った文作をしてもらう。課題は『将来の自分』とする。用を全て埋めても良し、簡単に書いても良し。ただし、必ず何か書くこと。よいな。」

とのこと。

作文はちょっと自信ないなぁ。主に文字を書くのが。

とりあえず何を書くと無難か考えていると、首にかじりついているケルベロスがオレを揺すぶる。

「なぁ、にーちゃん。『しょうらいのじぶん』ってなんだ?」

「なんだ、って言われてもなぁ。」

オレが返事に窮していると、横から助け船が。

「大人になったらこんな風になりたいとか、あんな事がしたいとか、思ったことを書けばいいのよ。」

微笑んで言ったのは、ふわりと飛んできたゼーだった。

ゼーレーヴェーも、見た目がほとんど一緒だからわかりにくいけど、態度や声を聞くと誰だか一発で分かる。一番落ち着きがあるのがゼーってわけだ。

ゼーの言うとおりだな。お前、大きくなったらどうしたいんだ?」

頭をポンポン叩きながら聞くと、ワンコはいっちょまえに考え込んだ。

「んー。オイラ強くなって、いろんなヤツと戦うんだ。あと、あちこちいろんなところに行ってみたいだろ。いろんなものも食べたいし。それと、母ちゃんみたいに子供一杯作るんだ。」

なんか、目に浮かびそうな将来設計だな。もっとも、ワンコが母親ってのはちょっと想像しにくいけど。

「……まぁ、そう言う事を書けばいいんだよ。な。」

うん、と頷くワンコだが、そもそも字は書けるんだろうか?