異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2006-04-09

微笑ましくもありがたいその申し出に、思わず

『作文に何書いたらいいもんだか。なるべく当たり障りの無いのを書きたいんだけど。出来れば格好良くてしんどくない目標が良いなぁ!』

とか、まじめに相談しそうになった。口を開き掛けて危うくやめたけど。ここで本音を言ったら、オレの評判は作文書くまでもなく急落下じゃないか。何のために悩んでいるのかわからなくなってしまう。

「あ~、作文なんだけどさ……ホーサは何を書くんだ?」

とっさに質問で返してみたり。困ったときの時間稼ぎはこれに限る。

ホーサは、まともに考え込んでしまったようで、

「えっと、その。…………秘密。」

と、頬を染めて俯いてしまった。

なんか、そんな態度を取られると気になるじゃないか。

「え~。そんなこと言わないで教えてよ。な、頼むって。」

と、軽い口調で笑いながら迫ってみると、ホーサはますます俯いてしまった。

うーむ。普段表情の少ない子がこういう反応をすると、なんか妙な気分になってくるな。

「なぁ、いいじゃん。他の人には内緒にしておくからさ。な、な。」

調子に乗って迫ってみると、困ったような嬉しいような表情のホーサと眼があった。

「あっ」

なに?と思った瞬間

ゴチッ!!

と脳天に衝撃が。星とヒヨコと天使が回ってます。頭の中が真っ白です。火花が飛び回ってます。

「無駄口をきかずに手を動かすがよい。」

「ぐぎぎぎぎぎ」

激痛に頭を押さえるオレの頭上から、姉御の冷たいお言葉が。

「それに、そなたらの作文は後でそれぞれ読み上げてもらう。秘密になどなりはせぬ。」

「「「「え~~~~!!!」」」」

女性4人の抗議の声が上がる。

「皆の前で読み上げなくてはいけないのですか?それは困ります。」

「そうです。女神様だけがご覧になればよろしいではありませんか。」

「私も、スカアハ様以外の人に知られるのはあまり……。」

「オイラ、作文得意じゃないから読むのやだ。」

若干一名、発言趣旨の異なっているヤツが居るけど、それはさておき。

「そなたら、人前で言えぬような願望を持ち合わせておるのか?人として神として大成する者は、誰にも恥じることなき大志を抱かねばならぬ。そなたらの夢は人に恥じるようなものなのか?」

姉御が、睥睨するように女性陣を見ると、皆慌てて口々に否定する。

「ならば何の問題もあるまい。周囲の者に感銘を与え、好意を得られる話しぶりは、渡り神にとって必要な技の一つだ。これはその修練でもある。よいな。」

と、なんだか強引に押し切られてしまった一同。やはり役者が一枚も二枚も上手である。

セタンタ。そなたも、これは文才と教養の見せ所ぞ。戯けた真似をいたさず、真剣に取り組まぬか。」

「はぁーーーい!」

仕方がないので真面目にやることにします。だってスカアハの拳骨、シャレ抜きで痛かったんだもん。

とはいえ。

涙目で原稿用を見つめるが、なかなか妙案が思いつかないわけで。

幾ら評判が良くても自分の首を絞めるのはゴメンだし、かといって、本音を書けば怒られる、ていうか呆れられる。

どうせ呆れられるんならいっそのこと、とんでもなく実現不可能な壮大な夢でも書いてやろう。志を大きく持てっていったのはスカアハだしな。

半ばヤケになって、オレは筆を走らせ始めた。