異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2006-04-30

試験結果の講評が終わって、いよいよ作文の発表タイムである。

待 っ て ま し た !

って事もないけど、全然判らなかった試験の答案よりはナンボかマシであろう作文発表の方が多少は気楽ってモンである。

作文の発表は、スカアハの指名で順番に自分の作文を朗読していくようだ。最初に指名されたのは、学級委員長ホーサ

すっと立ち上がったホーサは、軽く二回ほど『あー、あー』と発声練習してから朗読を始めた。

私は、馬の女神エポナの娘です。ですから、将来は兄と共に母の仕事を手伝いたいと思います。

母の仕事は、馬の飼育や使役の方法を教えたり、羊の放牧の方法を教えたり、家畜の怪我や病気を直す方法を教えることです。また、フンガリアやスキティアトルキアの諸族の調停役も母の仕事です。

母はいつも忙しくしていて、気の休まるときがありません。母の仕事を手伝えるように、また、草原の民がより豊かに暮らせるように、いろいろなことを学んで持ち帰るのがいまの私の仕事です。

いま私が学んでいて、一番面白いと思っていることは、吟唱詩人たちが語る多くの物語です。草原の民は歌や物語が大好きなので、ぜひ多くの物語や歌を覚えて、故郷の人たちに伝えたいと思います。

ホーサの落ち着いた声で、ゆっくりと朗読されるその文章は、なんだか暖かくて微笑ましい気持ちにさせられる。

広大な草原で暮らす遊牧の民。それがホーサの帰るべき人たちの姿なんだな。

オレが手を叩き始めると、皆が笑みを浮かべて続き、ホーサを称えた。

ホーサはまだ若いながら、妾や影の島の民を助けてくれている。そしてよく学んでいる。じつにそなたらしい篤実な作文であった。」

スカアハも微笑みながら頷いた。ホーサは照れた笑顔で答えて席に着いた。

次に指名されたのはフィオナだ。

フィオナは立ち上がって二三度咳払いをすると、低くしっかりした声で朗読を始める。

私の目標は、影の島、そしてアルビオンで最高の騎士になることである。

歴史にはさまざまな武功を挙げて盛名をなした騎士が多くいるが、彼らに並び、それを凌ぐ勲功を挙げ、歴史に名を残す騎士となりたい。

また、いつかタラの赤枝騎士団かログレスの円卓騎士団に選抜されたい。

そのためには、女神様のご指導の元に腕を磨いて、不断の努力を尽くすつもりである。

……簡潔なのは良いけど、また随分ソリッドな将来展望ですな。

まぁ、一応志が高いっぽい気もしないでもないけどさ。それ以上腕磨いてどうしようって言うんだろうと思わなくもない。あんた、既に十分強いだろうと。

フィオナは、既に影の島で屈指の勇士であろう。赤枝騎士団にも入ることはさほど困難でもあるまい。」

姉御も同じ判断のようだ。良かった、流石に止めてくれるらしい。

「然りながら。さらに高みを目指す姿勢は、誠に殊勝である。妾もそなたの意気に感じた。妾の力の及ぶ限り、そなたを鍛えて進ぜよう。」

って、止めるどころか了承したぞ。

「ありがとうございます!何卒よろしくお願いします!!」

「うむ。」

って、なんか意気投合してるし。

うーむ。似たもの子弟になりそうで、この組み合わせはちょっと要注意ですな。なんかバイオレンスなニオイがするよ。