異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2006-05-07

「知るものも多いであろうが、オーディン殿の娘達のうち、グン、フロック、エルルーンの3人は、請われて人に嫁ぎそれぞれ王国を成している。」

すかさずスカアハ先生の補足説明が入る。

えーっと。それは政略結婚ってことなんだろうか。それとも、見所のある男をとっつかまえてビシビシ操縦するのがワルキューレの甲斐性ってことなんだろうか。

「姉に倣って王国を啓く、か。だがそのためには武芸だけでなく、多くの知識や見聞、そして何よりも人を見る目と真実を見抜く力を身に付けねばならぬ。容易いことではないぞ。」

「望むところですわ。」

試すように言う姉御に、小さい胸を傲然と張って言い返すシグルーン

この向こう気の強さは誰譲りなんだろうか。

「では、そなたの望みにふさわしい修練を授けよう。子を成したことのないこの身では不服もあろうが、槍持つ女として、そして君主とてして積み重ねた我が経験が幾ばくなりとも役に立とう。」

影の島の女王にして白夜の国の女神であるスカアハ様は、わたくしの目標に他なりません。」

スカアハの言葉にシグルーンは、挑戦的な微笑みを浮かべて礼を返した。


さて、お次にお声がかかったのはケルベロス

ってことは、オレはトリってワケですね。

ワンコは、元気よく立ち上がって作文を読み始めようとして……

「……ねぇ、兄ちゃん。これなんて読むの?」

いきなりつっかかりました。

「………。あー、どれどれ。」

きたねぇ字だなぁ、ワンコ。

「なになに。『わたしのゆめは3つあります。』だな。」

わたし……?

「ありがと!」

なんか違和感のある書き出しにオレが戸惑っているのを気にもかけずに、ケルベロスは元気の良い声で作文を読み始めた。

わたしのゆめは3つあります。

ひとつめは、すごく強くなって、世界中のいろんな強いやつと戦いたいです。

ふたつめは、世界中のいろんな場所に行って、いろんなおいしいものを食べたいです。

みっつめは、世界でいちばん強い男と結婚して、いっぱいこどもを産みたいです。

そして、こども達といっしょにおいしいものを食べながらたのしく暮らしたいです。

そこまで読み上げたケルベロスは、ニコニコしながらオレの顔を覗き込んだ。

「……どうした、ワンコ?」

「兄ちゃんが世界一強くなったら、オイラがこどもいっぱい生んでやるからな!」

なにませたこと言ってやがりますか、このお子様が。

「はぁ……。まぁ、お前が世界一美人になったら考えてやるよ。」

「わかった!んじゃ、ついでに世界一美人になる!」

「ハイハイ、せいぜい頑張れよ。」

「あー!本気にしてないな!ぜーったい、ぜーったい世界一の美人になるからな!」

「ま、夢見るだけなら誰にでも出来るしな。」

「見てろ!ぜったいもの凄い美人になってやるからな!覚えてろ兄ちゃん!」

って、からかわれたぐらいで涙目になるなよな、ワンコ。