異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2006-07-15

次の課題までの間、しばしの小休止。

皆から褒められて満足げなケルベロスは、オレの肩の上で鼻歌なんぞ歌っている。

一方、視線を感じて目を向けると、こちらを見ていたシグルーンと目があった。

「……どうかした?」

「な、なんでもありません。」

口ではそういうものの、なぜか口を尖らせ頬をふくらませて視線を逸らすシグルーン。お嬢様は何かご不満のご様子。

ケルベロスも凄かったけど、シグルーンもたいした腕前だったぞ。なぁ、ワンコ。」

「うん!オイラびっくりしたよ!」

上機嫌のワンコからも素直な賞賛の声が聞こえると、

「……そんなの、当たり前ですわ!」

と、素直でないお言葉が返ってくるが、顔を紅潮させて満更でもない様子である。

ケルベロスシグルーンは年齢も近いことだし、今後は出来れば仲よく和気藹々とやっていただきたいモノであるが。どうも二人の間には、微妙にライバル意識というか対抗意識が芽生えつつあるらしい。

上手い具合に切磋琢磨してくれればいいが。

「そう言えばさ。シグルーンって歳いくつなんだっけ?」

ふと思いついて聞いてみる。

「10歳ですわ。」

と、なぜか誇らしげに言うお嬢。

「10歳であんだけ出来るヤツはなかなか居ないだろうなぁ。やっぱり凄いわ。」

「ま、まぁ!大神オーディンの娘ですもの。当然ですわ!」

とか言いつつも嬉しげな様子だ。

うん。精神的にはやっぱり子供だな。良くも悪くも。

と、心中納得していると。

「兄ちゃん!オイラ11歳だよっ!凄いだろ!」

と、よくわからんアピールをするもう一人のお子様。

「あー、お前も凄いな確かに。」

「えへへ~。」

こっちは素直で単純である。

「そういや、ワンコが11歳でお嬢が10歳って事は、一応ワンコがお姉さんって事になるんだな。」

「え!?」

「あ!?」

ふと漏らした言葉に、二人とも驚愕の声を上げる。

「そっか。オイラお姉さんか。」

「私の方が年下、ですか。」

あっけらかんとしたケルベロスの声と対照的に、イマイチ納得のいかなそうな表情を浮かべるシグルーン

ケルベロスのが年上なんだから、お手本になるよう頑張らないとな。」

「うん!オイラ頑張る!」

と、威勢だけは良いケルベロスと、

「姉上……ですか?」

かなり納得のいかない様子のシグルーン

そして会話が途絶える。

「……………………」

なんだこの微妙な空気は。

「と、ところでさ。シグルーンはお姉さんがいるんだよなぁ。やっぱり一緒に稽古とかしたのか?」

話題を変えようと水を向けてみるが。

「私には8人の姉がおりますが、姉上達は全員とても年が離れていますし、皆父の元を離れて独り立ちしていますので。」

と、顔を曇らせる。

「え?あー。そ、そうなんだ。」

もしかしてNG系の話題でしたか?

「ワンコも姉だか妹だかが居るんだっけ?」

急いで話題を変えねばと河岸を変えてみるが。

「うちも姉ちゃん達と妹が居るけど、スキュラ姉ちゃんとしか会ったこと無いよ。オイラとオルトロスは、小さい頃に爺ちゃんのところに預けられたから。」

あっさりとしつつも今ひとつ元気のない返事が返ってくる。

「そ、そういや昨日、そんなこと言ってたっけ……。」

そしてとぎれる会話。

あー。なんだこの空気は。