異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2006-07-17

一方のワンコにも、一応聞いてみることにしよう。昨日あらかた聞いた気もするけど。

ケルベロスも兄弟がいっぱい居るんだろ?」

「そうだよ。」

「どんな兄弟なんだ?」

「うーん。」

肩車状態でオレの頭にしがみついたまま、難しげなうなり声を発するワンコ。

「そもそも何人いるんだ、兄弟は。」

「えっとね。いち、にぃ、さん、よん、ごぉ……」

と言いつつ指折り数えるワンコさん。

「……じゅうなな、じゅうはち、じゅうく……」

って、一体いくつまで数えるんだ。

「……んー、多分20よりは多いかな?」

多すぎてカウントすらできんのかい。

ちょっと目眩がしつつも話を先に進める。

「なんか、姉の人と会ったことがあるとか、双子の姉妹と一緒だったとか言ってたよな。」

「姉ちゃんはいーーーーっぱいいるけど、会ったことがあるのはスキュラ姉ちゃんだけだよ。」

なんか、シグルーンと似たような境遇じゃのう。

「ほぅ。どんな人なんだ?」

「いつもニコニコしてて可愛い姉ちゃんだぞ。下の子達も元気があるし。」

「……は?下の子達?別に妹でもいるのか?」

「スキュラ姉ちゃんの足は、犬が6匹組み合わさって出来てるんだよ。」

「………そりゃまた凄いね。」

「ラドン姉ちゃんは鉄より固い鱗があるって言うし、ヒュドラ姉ちゃんなんか頭が蛇だっていうよ。」

「……そ、そうか。その、あれだ。実に個性的なお姉さん達だな。」

うーむ。間違ってもケルベロスに『お姉さんを紹介しろ』とか言わないように気をつけよう。

そしてさっさと話題転換。

「妹ってのは?」

「オルトロスはオイラの双子の妹なんだけど……。」

なぜかそこで口ごもる。

「今どこにいるんだ?」

アサ神族の……なんてったっけなぁ。」

「ヴァルハラ」

「そうそう。そこに連れてかれた。弟子の交換だって言ってた。」

シグルーンの声に同意しつつ、事情を話してくれる。

ケルベロスとオルトロスは、ともに幼い頃にトート爺さんに預けられて一緒に育ったのだという。爺さんの統治する町、ヘルモポリスで、片時も離れずに過ごしたのだと言う。

「あいつ、変な子だけど、結構いいところもあるんだよ。」

「変な子?」

「狩りや野掛けにも行かないで、書庫で巻物ばっかり読んでるんだよ。爺ちゃんに魔法とかいろいろ教わってたりさぁ。」

「へぇ。双子なのに随分違うもんだな。」

「あと、しゃべり方もへんなの。『姉上も堅固にお過ごしください。くれぐれも生水など飲まれませぬように。』とかなんとかさぁ。生水飲んだくらいでお腹なんか壊したりするわけないのになぁ。」

などと、双子の妹のことはいろいろ語りたいことがあるらしい。文句を織り交ぜつつも、どこか楽しげに語る。

「……でさぁ。弟子入りが終わったら、またオルと一緒にヘルモポリスに帰るんだ。アイツも頑張るって言ってたから、オイラも頑張らなきゃ!」

「そうか。妹に負けてられないものな。」

「うんっ!」

寂しげな気持ちを抑えてか、無理矢理元気な声を出しているようなワンコがちょっといじらしかったり。普段アホっぽいだけに、素直に健気な所を出されると、妙に可愛いよな。