異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2006-10-09

「『大富豪』なのに、カードを捨てていくんですね。」

と、不可解な表情を見せるお嬢とか。

「一枚より二枚の方が強いだろ?出しちゃダメなの?」

と、変な理屈をこねるお子様とか。

「最後に2を出すとどんな罰則があるんだ?罰則がないならやってもかまわないだろう。」

と、勝つ気満々なお姉様とか。

そんな人たちにルールをようやく説明し終わって、まずは一回、全員平民でやってみることにする。

「剣の3は私のところに来てますね。」

ということで、ベレヌスから時計回りに。ちなみに、この世界では向かって左に順番が回るのを『盾周り』というそうな。

「では、3を二枚出します。」

ベレヌスの場札は、剣の3番と棍棒の3番の二枚。

次のホーサが、ちょっと考えて星の5番と杯の5番を重ねて出す。

「これでいい?」

うん。それでOK。視線をこちらに向けたホーサに頷いてやる。

そのお次のシグルーンは不機嫌そうにパス。

そしてそのお次のケルベロスが元気よく札を出す。

「これでとめる!」

場札はジョーカー一枚。

「あー、2枚以上のときはジョーカー一枚じゃ切れないんだ。もう一枚6以上のカードを出してペアにするしかないな。」

「え~?……じゃあやめる。」

ぷうと頬をふくらませるワンコ。どうも、左に座るシグルーンより体格では一回り大きいのに、精神年齢は同じぐらいに見える。微笑ましいけど、そんなに表情に出してると勝てるものも勝てませんぞ。

その次のフィオナは、ニヤリと笑ってカードを二枚切る。棍棒のKと星のKだ。

「どうだ。」

鼻息も加えて得意満面。

しかし、その次のギリアムさんが無造作にカードを二枚出す。杯のAと星のA。

「悪いですね、フィオナ様。」

さらりと言いつつ口元に笑み。さわやかなんだけどちょっと意地悪そう。

「!!……くそぅ……。」

忌々しげなフィオナを見て、ギリアムさんの笑みがさらに深くなる。

……もしかして、この二人仲が悪いのか?

結局、ギリアムさんがフィオナの場札をうまい具合に潰して下位札を始末する中、ギリアムさんの次の手番であるオレはサクサクと弱い札を整理してしまう。

「じゃ、2で切るよ。ジョーカーももう無いしな。最後は星の6っと。」

あんまりいい手札じゃなかったけど、漁夫の利で一位を獲得。教える側が一位とか大人気ないと思わないでもないが、勝ち負けをはっきりしないとゲームは面白くないからな。

「え……?!」

逆に茫然自失のギリアムさん。残り手札は1枚だが、おそらく4か5辺りだろう。最後にKで切れると思ったのが迂闊でしたな。

結局、オレに続いて有利な位置にいたホーサベレヌスが上がり、シグルーンも最後に7の三枚札でケリを付け、序盤に飛ばしすぎたケルベロスフィオナギリアムさんが難しい顔をしながら残された。残り枚数2枚のフィオナがJで切って5を出して上がり、ギリアムさんがパス。ケルベロスが鼻息も荒く9を出して何とかイニシアティブを取ることに成功。

最後の手に悩んでいる様子のワンコに、「二枚札がなければ、あとは大きい方から出すしかないだろ。」とアドバイスしてやる。

8、4、3と出してケルベロスも上がり。ギリアムさんはがっくりと手札の剣の4番を卓に置いた。

「ま、まぁ。ホンの練習ですから。次から頑張ればいいじゃないですか、ね。」

と励ましつつ、負けた者順に席替えをし、大富豪が一番多くなるようにカードを切っていく。

「じゃ、強い方から2枚カードをもらえますかギリアムさん。」

ギリアムさんはさらに肩を落とした。