異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2007-01-21

「こいつは光霊のノゾミ。これからオレの、相棒というかペットというか、まぁそんな感じのお付き合いになるかもだから。ノノタンとかノノッチとか、まぁ好きに呼んでやってくれ。」

かなり適当に紹介してやると、他の弟子連中が物珍しそうに近寄ってくる。

「オイラはケルベロスなっ!」

などと元気に挨拶する声や、

「よろしくね、ノゾミちゃん。」

などと微笑む落ち着いた声。

他にも早速触ってマジマジと観察するお嬢や、興奮半分羨望半分でオレに話しかけてくる兄ちゃんなど、弟子連中の受けは概ね悪くない。

一方それ以外の住人、特に人間やコボルド連中は、オレ達を取り巻くように一歩下がってみている感じだ。

「どしたの?触っても大丈夫だよ。見た目ヘビだけど噛みついたりしないし。」

おばちゃんの一人に声を掛けると、

「セ、セタンタ様っ。光の精霊様に触れるなどと、畏れ多くてそんなこと出来ません。」

などと顔を蒼くして畏まられてしまった。

「そお?」

なんでそんなに怖がるのか、イマイチわからんのだが。

ナバルさん達は?」

と、コボルド達に水を向けてみると、ひっ、と息をのむ音がして一同一斉に床にひれ伏してしまった。

「ちょ、ちょっと。そういうのやめてよ。そんな大層なもんじゃないってば。」

などと声を掛けても恐れおののいたまま全く近づいてくる様子はない。

「え、えっと。とりあえず仕舞うからさっ。」

キャイキャイと空に光の線を描いていたノゾミ君を呼び寄せて、オレの側にいるように言いつける。ノゾミ君は、首の周りや胴の周りなどをモゾモゾと動いていたが、最終的に落ち着いたのは右腕の上腕部で、グルグルと腕に巻き付いて腕輪のような姿を取った。

よく見てみれば、そこにはオーディンのおっさんから貰った金の腕輪をはめているので、それと一体になって装身具風に見えないこともない。

ノゾミ君が大人しくオレの言いつけに従うと、土下座していたナバルさん達も恐る恐る立ち上がった。

「コイツには迷惑かけないように言っておくからさ。……まぁ、その、よろしくお願いします。」

オレが頭を下げると、おばちゃん達もコボルド達も余計畏まってしまったり。

なかなか扱いに困る感じである。

「普通の人たちは、精霊魔術的な物として怖れていることが多いんですよ。それに、精霊の中でも、特に光霊を扱える渡り神はごく少数ですから。きっとビックリしてしまったんでしょう。」

というのがベレヌスくんの意見。

いずれにしろノゾミ君をあんまり放し飼いにしておくと、いろんな人の迷惑になりそうなので気をつけなくては。

紹介が済んで皆が席に戻る段になると、スカアハフィオナの交信も終わったようである。

フィオナは、今宵は生家で過ごすそうだ。明日戻ることになろう。」

そして、空席が一つ空いたまま夕食が始まった。


食事の間の歓談では、ホーサ達やベレヌス達の話の聞き役に回る。

ホーサ達は、グラナおばちゃんの村から北東の小街道を辿って森に入り、滝や湖を見てきたらしい。一方のベレヌス達は、同じ湖にこの館の側を流れる川から遡って辿り着き、日がな一日釣りを楽しんだそうな。ルートこそ違えど最後は同じ湖で合流し、一緒に帰ってきたということだ。

「楽しかったみたいだな。」

「うんっ!」

ケルベロスの満面の笑みがそのまま小旅行の成果と見て良さそうだ。