異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2007-01-27

翌朝。

なにやら賑やかに話し込む声で目が覚めた。耳元で、ゴニョゴニョだのクスクスだの、可愛らしい会話が交わされている模様。

「わたしねー、お肉がすきー。甘いものも大好きー。」

「アマイト、ウマイト、チガウカ?」

「甘いはねぇ。ほわーっとして、わーいってかんじかなぁ。」

「ホワー、カ。ワカンナイ。」

と、非常にもどかしい会話をしているようだ。

つーか、片方はノゾミっちだとして、もう一人は誰だよ。

寝ぼけ眼で声のする方向を見ると、白い寝間着を着たケルベロスがベッドの端に腰掛けて、足をブラブラさせながら目の前に浮かぶ光のヘビと言葉を投げ合っていた。

「……ワンコさん?」

声を掛けると、ケルベロスの背中がビクリと震えた。

「に、兄ちゃんおはよー!」

焦った笑顔で振り向いたケルベロスは、なにやら愛想笑いを浮かべていたり。

「今日は随分早いんだな。」

「あ、うん!」

あははーなどと態とらしく笑いながら、頭をガリガリと掻く。

「なんか、いつも寝坊してるやつが早起きしてると、何事かと思うな。」

「オイラ、昨日早く寝たから、朝も早く目が覚めたんだ。」

どうやら、言葉遣いはいつもの調子に戻ったようだ。

「んじゃ、着替えて顔洗ってこい。朝飯食いに行こうぜ。」

「はーい!」

部屋から送り出して、自分も着替えはじめる。

「ノゾリン、ワンコと話してたのか?」

「ワンコ、オモシロイ。ワンコ、イイヤツ。」

「そうか、良かったな。」

どうやら、ケルベロスとこの光霊さんとの仲はなかなか上手く行っているらしい。

それにしても、ケルベロスは時々口調が変なときがあるよなぁ。もしかして、いつもの男の子っぽい態度は犬ならぬ猫をかぶってて、もっと女の子っぽいのが素だったりとか。

「……いや、ソレはないだろ。」

「ソレ?」

「いんや、気にするな。」

ノゾミ君にもう少し知性があれば意見を聞けるかもしれないが、今の感じじゃ聞き出すのがしんどそうだ。

「ノゾミ君は……もう少し色々勉強しような。」

「ワカッタ。」

いつの間に身につけたのか、ちゃんと人間のように頷く仕草を返してくる。もしかすると、ノゾノゾの潜在的な知性は意外と優れているのかもしれない。いずれはワンコといい勝負ぐらいになるかもしれないなぁ。

などと希望的観測を加えつつ、朝食に向かう。


その日は、フィオナ不在のまま午前中は鍛錬、午後は予定通り座学を。

午前中の鍛錬では、極基本の武技と言うことで杖術の手解きを受けることになった。とはいっても、杖術は槍術の基礎なので、本当の意味で改めて学ぶ必要があるのはオレとケルベロスぐらいらしいが。

午後は、基礎の基礎と言うことでアローン全土のおおまかな地図から地理を習っていく。こちらは、オレ以外にもシグルーンなんかは結構興味深そうに聴いていた。曰く、

スカアハさまの地図は、アレクサンドリアの学院所蔵の地図を元にしておられるそうなので、世界で一番正確な地図なんです。ヌビアエディアなどの土地の地図を正確に記しているものは珍しいのです。」

などと知的興味を表に出して真剣に講義を聴いていた。


そして、夕飯時になってもフィオナはまだ戻らなかった。