異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2007-01-28

「どうやら父親と揉めておるらしい。話にケリが付くまで戻らぬと言う話だ。」

と、スカアハの説明があったのは、最初にフィオナが出かけてから既に3日も経ってからのことだった。

その間弟子一同、特にオレとホーサ、それにもちろんギリアムさんは、フィオナが戻らないことを心配していた。

最初は、

フィオナのことだから、まぁ心配は要らないだろう。あれだけの手練れをどうにか出来るような奴はそうそう居ないだろうしな。」

「そうね。戦での強さだけなら、我々渡り神よりも上かもしれないもの。」

などと話していたのだが、さすがに3日も経つと心配になってくる。

そんなわけで、一応事情を詳しく知っていそうなギリアムさんに、話を聞いてみることに。

フィオナのオヤジさん、コノーアさんだっけ?どういう人なの。」

「コノーアさまは、コール氏族の氏族長でして、エリン族全体の大族長でもあります。」

と、ギリアムさんが説明してくれた。

要旨をかいつまんで整理すると、まずは影の島の政治体制についての話が一番のポイントになる。

影の島には、大きく分けて4つの勢力が存在している。

まず最大の集団である、人間族の一派・エリン族。島の大部分(とはいっても山岳と森林を除く平地のごく一部だけれど)はこのエリン族が支配している。

続いて、エリン族以外の人間族。この中には、エリン族には属さないオーリン族や、アルビオンから移住してきたコノリ族系の部族、あるいは都市などに住まうアサ族系やダヌ族系などの人々が含まれる。

そして、妖精族。この中には、リャナン・シーさんのような半神に近い大妖精から、ゼー達のような小妖精のコミュニティまで、含まれる。

そして最後にエリン族以前からこの島にいたという人間族のアリン族。彼らも、民族集団としてはコリン族系に属し、エリン族コノリ族とそれほど容姿や生活に差があるわけではないが、上記3勢力に対して比較的敵対的な姿勢を取っている。

アリン族とそれ以外の集団の最大の違いは、それぞれが戴いている神であり君主が異なるという点だ。

エリン族やそれ以外の人間族、あるいは妖精族は、それぞれの族長や王の上の首長、共通の大女王として一人の女神を戴いている。

まぁ、この女王というのが言わずとしれた我が麗しの師匠であるスカアハのことなのだが。

そして、それ以外のアリン族は、彼ら独自の首長としてやはり一人の女神を戴いている。その女王はメイヴというらしい。

さて、以上のような大きな枠組みの中で、フィオナのオヤジさんがどういう地位にいるかという話である。

以前もちらほら名前が出ていたが、フィン・マッコール爺さんが勤めた『大族長』という地位があり、今現在の大族長がフィオナの父親らしい。

一言でエリン族と言っても実際には統一された民族とは言い難い。その内訳は数十を超える多数の氏族で構成されている。各氏族は氏族長を頭に戴き、その氏族がより広範囲の血縁集団で集まって部族を構成しその頭に部族長(あるいは単に族長)を戴く。そして7つの部族が集まったエリン族全体で非常に緩い連合体を構成し、その頭に大族長を戴いている。つまりは、スカアハのすぐ下の地位であり、この島最大勢力を代表する『王』に近い地位が大族長だと言える。この大族長は、部族長同士の互選で選ばれるが、ここ5代はコール氏族(より正確にはその上のアノール部族)から選ばれているそうな。

「大族長と王は違いますけどね。」

と、ギリアムさんには釘を刺されたが。どうやら、この世界で『王』と名乗れるのは、君臨する神と血縁関係や婚姻関係がある場合だけに限られるという。もし仮にフィオナパパ・コノーア大族長が『エリン王』を名乗るとすれば、スカアハと名目的にしろ結婚するほかに方法はない。

……そんな命知らずが居るとは思えないが。


さて、ギリアムさんの説明を聞いてはっきりしたことがある。

あのランボー者の女騎士は、実のところお姫様もお姫様、まさに王女様的な生まれであると言うことである。

その言葉が似合う似合わないは置いておくとして、高い地位にある者の娘である以上避けて通れない話がある。政略結婚である。