異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2007-10-08

「ログレスってのはどこにあるんです?オレ、まだこっちに来て日が浅いんで、あまり詳しく知らないんですよ。」

「ログレスは、アルビオンに存在する七王国が一つにござる。アルビオンの南西に当たりまして、影の島にも近うござるな。ウェルシュとかカディフとも呼ばれることがござる。」

ほうほう。地図で言うとウェールズに当たるのかな。ウェルシュと響きが似てるし。

「ログレスの王家たるグウィネス家は、アローンから直系16代の末に当たるルーリンが、女神ダヌの曾孫であるブリギット様と成した子、グウィンに始まる由緒正しい家柄にございます。グウィンより21代、既に渡り神にはあらねど神の末裔として民草より尊崇されてござる。」

「へぇー。すごいッスね。」

などと、嬉しげに話すカイアスに適当に相づちを打つ。

結局、オレとホーサ(とレー)は、若年組の仲間に入れて貰うことにした。というか、フィオナに強引に引き込まれた。

もっとも、話の輪に引っ張り込まれても特別困ることはない。なにしろ、カスパルにフィオナにロイグ、更にはヒゲのカイアスも、揃って話したがりなわけで。ちょっと話を振ってやるだけでひたすら聞き役をしていられる。オレは、相槌を打っているだけってのはそんなに苦痛じゃない。相手の話がそれなりに面白い限りは、だけど。

「そういや、エリン族はなんで自分たちの代表を王様っていわないで、大族長って呼んでるの?」

セタンタスカアハ様に教えていただかなかったのか。」

「ああ~、原則は聞いたような気がする。なんだっけか。神自身か直系だけが王を名乗れる、だっけ。」

「そうだ。我らの祖先であるエリンはアローンの直系11代にあたるが、そのエリンの直系の血筋は、我らの先祖が大陸にいる間に失われてしまったのだ。」

「おかげで我らの祖先はまとまりを失い、流れ流れて影の島まで来たってわけです。まぁ、おかげで新たなる神にして王に出会うことが出来た、ってわけですな。何が災いして、何が幸いに結びつくのか、世の中わからんものですな。」

フィオナとカスパルは、特別掛け合いのテンポがうまい。二人で一人の話し手のように話を継いでいく。きっと、この辺はカスパルの話術が巧みなんだろうけど、波長が合うのもあるかもしれない。

「『禍福は糾える縄の如し』ってね。悪いことはいいことの裏返しなんだろうな。」

「ほう、それは面白い言葉ですな。箴言でござるか。」

「ええ。オレの故郷のことわざですよ。」

そんな感じで、時々くちばしを突っ込みつつ会話に適度に混ざってすごした。

それにしても、このログレス生まれのゴザル殿、独特の古くさい口調は変わっているものの、なかなか落ち着いて話せる御仁である。マウルさんやギリアムさんとも話が合いそうなのに。

「あれ?そういえば、マウルさんとギリアムさんは?」

「……いまごろ何を言っているんだ。二人は今晩、家族のところに戻っているぞ。」

あー、そりゃ家族くらいいるか。そーだよな。

……なんか、ちょっと羨ましくなったりして。


そんなわけで、もはや宴会の定番となりつつある歌をせがまれて、選曲が「故郷」になってしまったのも、望郷の念が涌いてきたせいかもしれない。

ウサギを追ったり小鮒を釣ったりはしなかったが、故郷を思う気持ちはそれなりに乗っかっていたのだろう。幾人か目元を押さえている方もいらっしゃったり。

何となく同系統の歌ということで「夏の想い出」を思い出して歌う。そういえば、尾瀬も長らく行ってなかったな。こんな事になるなら、あと一回くらい行っておけば良かった。

場がしっとりしたところで、危うく「春よ、来い」とか涙腺を刺激する歌を思い浮かべてしまったが、シーズンが合わないので自重。ラストは「夢光年」で締めてみました。この世界に宇宙があるかどうかも分からんけどね。

会場が広く天井が高いこともあって、いつもより気合いを込めて歌ったのが良かったのか。参集者一同には非常に好評だった。

しかし、こんなに毎回歌を歌ってると、そのうち渡り神じゃなくて歌うたいだと思われるんじゃ。