異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2008-02-14

はて。

神妙に謝罪する大族長閣下(陛下か殿下か猊下か、どれなのか本当は知らん)を前にして考え込んでしまう。

今日あった出来事のなかで見苦しいことというと、やはり王がどうたらって一件だろうか。確かに、城代やら巫女長やら市長やらが寄って集って新参のよそ者に王様になってくれ、なんて話を振ること自体、見苦しいというか醜態と言えるかもしれん。

「ああ、アレでしたら気にしなくてもいいですよ。」

「そうは仰られましても、こちらの不手際でセタンタ様に大変ご不快な思いをさせてしまったのではないかと。」

なんか知らんが、コノーアさんの許しを請う態度がえらい丁重である。

「いや、ホントに気にしなくても。そもそも、あんな話振られましても、オレだってそうホイホイ乗るわけにはいかないですからね。迂闊なこと言うと、怖いお師匠様に大目玉を食らっちまいます。」

「は?……いや、その。」

当惑した様子の大族長は、なぜか首を傾げてしまった。

「……大変失礼ですが、何の話をされておられるのでしょうか。」

「えっと。昼間聞いた、王になってくれとかなんとかいう話じゃないの?」

「……いえ、その話ではないのですが。」

なにやら眉間にしわを寄せて険しい顔をするコノーアさん。あれま、なんか不味いこといったかね。

「えーと、そうすると別の話か。なんだろう。フィオナの婿になれって話?」

「……いえ、その話でもございません。」

うへぇ。

なんか知らんけど声のトーンが明らかに下がってきてるし、眉の角度もスンゴイことになってるんですけど。

「コノーアさん、その、良く分からないんだけど怒ってる?」

明らかに腰の引けた態度で、顔だけスマイルで聞くと、

「ははは、怒ってなどおりませんとも。」

などと強ばった笑顔で返事が返ってくる。

あーもう、やべえよこれ。どう考えても今の二件は、オレにその話をしたことがコノーアさんに伝わってないな。つーか、三色兄貴も口にしちゃ不味いんならちゃんとオレに口止めしておけよな。

などと頭の中でぶつくさぼやいていると、コノーア大族長は咳払いをして場を仕切り直した。

「それはひとまず置いておきましょう。」

「そーですね。んで、何の話でしたっけ。」

オレも苦笑を返して頭を切り換える。

「市場にて、悪漢の襲撃を許したと聞きました。しかも、その悪漢は我らが取り逃しておりました人攫い一味、セタンタ様が捕らえて下さった"海鷲"ペリグ一味の残党と報告を受けました。」

「ああ、あれね。」

ついさっきの大男の件か。

「エリンの治安を預かるものとして、一度ならず二度もセタンタ様のお手を煩わせてしまい、さらにはセタンタ様、ホーサ様の御身を危険に晒してしまいました。お詫び申し上げます。」

コノーアさんは、真剣な表情でわびを入れた。

まあ、たしかに騒ぎにはなったけど、俺自身は別に危なくなかったからそんなに謝られることでもないんだがなぁ。

「その件は、別に気にしてませんよ。ちょっとは驚いたけど、別にオレは危なくなかったですしね。人の多い場所で暴れてたから取り押さえるのに手を貸しただけの話です。」

「そういっていただけると助かります。ご助力ありがとうございました。」

ホッとした様子で、大族長は頭をもう一度軽く下げた。

そして、ガラリと表情を変えて身を乗り出してきた。

「ところで、先ほどの話を詳しく聞かせていただけませんでしょうか。」

「お、おう。いいッスよ。」