異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2008-07-05

食事もそこそこに慌ただしく出かけていった二人を見送ると、ようやっと落ち着いて食事を取れる状況になった。

「悪いんだけど、トウモロコシとジャガイモ茹でたの、もう少しもらえないかな。」

ちょっとばかり食い足りなかったので給仕のおばちゃんに頼んだら、快く持ってきてくれた。

「豆のスープもおかわりお持ちしました。たんと召し上がって下さい、セタンタ様。」

すこし辛みのあるスープと一緒に、茹でいもなどをおいしくいただく。

セタンタ様は、本当においしそうに食事を召し上がりますね。」

とっくに食べ終わったレーが、微笑みながらオレを見上げて言う。

「いやー。正直なところ、こっちの世界の飯にだんだん慣れてきたせいか、何でもおいしく食べられるようになってきたんだ。」

「ブイイもですか?」

「あー、ブイイか。あれは出来れば辛みとか塩味が多めに欲しいな。でもまぁ、慣れてきたよ。」

「ふふっ。そうですか。それは何よりです。」

小さいけれど優しく包み込むような笑顔で、レーは笑った。

「ところでセタンタ様。」

「ん、なんだ。」

「……セタンタ様は、なぜ、あの山賊の首領を助ける気になったのですか。」

「ん?」

オレが、食いかけのトウモロコシから視線を上げると、レーは真っ直ぐにこちらを見て問いかけてきた。

「うーん。一言で言っちゃうと、情が移ったから、だな。」

「そんな……。」

オレの返事にレーは、珍しく険しい表情でこちらを見上げていた。怒ると言うより拗ねるような感じで、これはこれで可愛かったりする。

「もちろんそれだけじゃないぞ。いくらオレが神様待遇でチヤホヤされてるからって、『あいつ可哀想だからお咎めナシ』なんて言ったらただじゃ済まないのは分かってるって。それなりの理由はあるよ。」

オレが、「聞きたいですかお嬢様」と剽げて首を傾げてみせると、レーは一瞬微笑んだあと、さっと表情を変えて視線を横にずらした。

「なんだ?」

レーの視線に合わせて後ろを振り向くと、鮮やかな緑色の瞳と視線が合った。

「その話はぜひとも聞かせてもらいたいですわ、セタンタ様。」

「私も。」

いつの間にか後ろに立っていたフィオナホーサが、何だかおっかない顔でオレを見据えていた。

「えーとね。落ち着いて最初から話を聞かないかな、お二人とも。」

咄嗟に浮かべた愛想笑いも、フィオナにフンと鼻息で一蹴されてしまった。

オレの両脇に座った二人は、オレの手から手際よく皿や食器を取り上げると、視線で話の先を促した。

「分かったよ。話すからそんなに怖い顔するなよもう。そんな風に眉毛逆立ててると、美人が台無しですぞ二人とも。」

「世辞は結構ですから、セタンタ様がまたどんなオイタをされたのかお聞かせ下さいませ。」

「お、おう。」

結局、午前中仕入れた情報やら、オレ自身の考えやらを一通り白状させられてしまった。

「ペリグ、というか息子ってのが可哀想だなと思ったのは確かだけどさ。それ以上に、アイツは船乗りとして使えると思うんだ。殺してしまうには勿体ないんじゃないかと。」