異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2009-05-17

女中さんが持ってきてくれたのは羊皮紙とインク壺と羽根ペンでした。一瞬、そんなに大仰なモノはいらないんだけど、と言いかけたけどやめておく。きっと、困らせるだけだからな。まぁ、どうせ大したこと書かないので石板辺りで十分なんではあるが。

さて、どう書こうか考えていきなり手が止まってしまう。

どうも、頭の中をきちんと整理できていない感覚がある。所詮はメモ書きに過ぎないので、このまま思いついたことを何となく書いても大きな問題はない。とはいえ、あんまりカオス状態のメモを渡しても不親切だしね。

そんなわけで、今わかっていること、決まっていることをリストアップしてみる。

まずは事実から。

  • ペリグ一味による被害
    • 誘拐されコノートへ売られた女性や子供が十数人以上
    • けが人多数。家屋への放火や家財の盗難など。
  • ペリグ一味の犯行動機
    • ペリグの息子を治療するために、奴隷を1000人メイヴに納める必要があった。資金不足から誘拐をしていた。
    • 掠った者達はメイヴの手の者を介してコノート領へ運ばれていた

これは赤枝騎士団の調べた内容としてコノーアさんやスカアハに上げられるだろうから、ペリグ一味の裁きはほぼこの内容で決まるだろう。ごく当たり前の話だが、ペリグたちはこの凶状のツケを払うことになる。そして、その罰はおそらく。

  • ペリグ一味の量刑
    • 悪くて磔刑、良くて斬首。死罪は免れない。
    • もしなんとかして生かしたいと思うなら、スカアハに常と異なる裁決を出してもらうしかない。

オレは、今書いた一文に◎をつけた。ここが第一の問題になる。

  • ペリグ一味の刑を減免することはできるか
    • まず無理。というか、単純に減免するなど許されない。

オレ的にも、ペリグ一味の行状は重罪に値すると思うし、もし被害者側だったら極刑を望んだかも知れない。そういうことを考えると、単純に事情が事情だからカンベンしてやろうという展開はナシである。スカアハも絶対納得しないだろう。

となれば、連中を生かすためには相当な手段を講じる必要がある。

  • スカアハを説得する方法
    • 掠われた子供全員を救い出すと誓う
    • ペリグ一味には公共の利益になることを長期間やらせる
    • メイヴの意図を詳らかにし単純な山賊ではないと証明する

といった辺りになるが、おそらく全部を満たしてもスカアハは単純にウンとは言わないだろう。少なくとも、

「こいつらが責任持ってやるから許してやってよ!あはははは!」

みたいな態度だと、姐御にバッチリ叱られてオレ様立場なし、ペリグ一党は三尺高い木の上で串刺し確定になってしまう。

それを回避させる論法となると、やはり

「オレがこいつらを監督して、身代わりになって償いをするから、命だけは助けてやってくれ。」

というモノしか思いつかない。幾分卑怯な手でもあるし、オレ自身には正直なところメリットらしいメリットはない。オレの保身や利益だけを考えたら、ペリグ一味のことを放っておいて関わらないのが一番である。

そこで、自分自身の気持ちを確かめてみる。

「結局は、あいつらを許せるか、助けてやりたいか。……オレ次第で27人の生死が決まる訳か。」

口にしてみて、思ったより重いものが掛かっていることに気づいた。同時に、スカアハが常日頃「法を情で曲げるな」という理由もわかった気がする。人の生殺与奪の権を握るというのは、気まぐれや依怙贔屓で無造作に人の生が終わりうると言うことなのだ。

「くそう……重いな。」

ぶつくさ言いながら、メモの末尾に付け加える

  • ペリグ一党を助命すべきか
    • 全力で助ける。そして、誰もが許す気になるほどの成果を上げるまで行動で償わさせる。

「正義の味方になろうってんだからな。このくらいはやってのけないと納得しないだろう。」

言ってから、自分の大言壮語ぶりにちょっと目眩がした。