異世界日記 『第四部 見習い日記学舎編』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

 ■本家サイト作者ブログはつせの世界メール

2009-12-06

「いや、ちょっとまて。」

と言わずに居られようか。いやない(反語)。

スカアハの弟子ってのは合ってるし、大族長の客人ってのもまぁ、違いない。」

思わず首を傾げて自分でも確認してしまう。

「だが、その最後のはなんだ? エマ姫と結婚? どこから出てきたんだその話は。」

いやまぁ。そんな話がオレとコノーアさんの間であったことは否定しないが、確定事項みたいに伝わってるとはどういうこと何だか。

オレが慌てて問い掛けると、その勢いに驚いたのか少し怯んだ様子のウルタナさん。

「そ、それは!」

硬い表情で身体を硬直させつつも、歯を食いしばりこちらを見上げる。その負けん気の強さは、女だてらに騎士として身を立てようという気概を分かりやすく表している気がする。ただ、オレの語気が思ったより強くなってしまったのか、ちょっと目が潤んでいるというか、ぶっちゃけ涙目である。別に女の子らしく泣きそうというわけではなく、悔し涙、あるいは単純に感情が昂ぶると涙が浮いてしまうのかも知れないけど。

ともかく、オレからすると大人と子供ほども背丈の違う相手に半泣きになられるのはオレとしても不本意である。

「ああ、ごめんごめん。」

硬くなった身体を軽く胸元に抱き寄せて、頭を撫でつつ肩をぽんぽんとしてやる。

「きゃんっ!」

「別に怒ってるわけじゃないんだ。ビックリしただけなんだよ。ウルタナさんに何かしようってわけじゃないから、怖がらないで。」

硬直したままオレの腕の中でじっとしているウルタナさん。よしよしとできる限りやさしく頭を撫で続けるオレ。

「おおおおお~」

「あのウルタナ様がまるで子供みたいに……」

「さすが神様!俺たちにできないことをやってのける!」

どよどよしている兵士達を尻目になでりなでりしていると、漸くウルタナさんが動き出した。

「あ、あの!」

「どうかした?」

「もう大丈夫ですから、その、放してください。」

何だか弱々しく声を出すその様子に下を見下ろすと、顔が驚くぐらいに真っ赤に紅潮していた。

「あ、ごめんね。痛かった?」

慌てて手を放す。すると、ウルタナさんは慌てて飛び下がり、胸元に手を当てて喘ぐように深呼吸を繰り返した。

セタンタ様。もしかして、すごくお酒弱かったり致しませんか。」

今度は真っ赤な顔で涙目のウルタナさんが、胸元を守るように自分の肩を抱いて下から睨んでいる。はっきり言って、短い髪と男装にもかかわらず、何とも言えない女性らしさが滲み出ている。

どうやらそれを感じているのはオレだけでなく、兵士や人足達からも感嘆の声が上がっていた。

「んー、酔うのは早いけど結構飲めるよ。だから別に弱くはないから大丈夫。ありがとう、心配してくれて。」

笑いかけながら返事をすると、ウルタナさんは一瞬動きが止まったものの、すぐにオレの手を掴んで引っ張り始めた。

セタンタ様、ひとまずこちらへどうぞ。酔いを覚ましてからでないと船には乗れませんので。」

「ありがとうウルタナさん。心配してくれて。」

オレがいい気分で答えると、ウルタナさんはオレから目を逸らして先を急ぎ、オレを急き立てた。

「たった三杯でこんなことに……」

なんか言っているのが聞こえたが、今は心がふわふわとして楽しい気持ちなので気にしないことにする。